«前の日記(2016-06-05) 最新 次の日記(2016-06-07)» 編集

薫さんのひとりごと

店主、名古屋薫が、お店に関係あることや、お店に関係ないこととか、
いろいろ書いたりするかもです

2008|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2010|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2011|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2012|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2013|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2014|01|02|03|04|05|06|07|08|10|12|
2015|01|03|12|
2016|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2018|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2019|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2020|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2021|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2022|01|

2016-06-06 【(水野晴郎風に)歳を取るのって、いいものですねぇ】

本日のNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』は、名古屋港特集でございました。番組内でポンポン飛び交う名古屋弁、楽しかったのでございます。ワタクシ、港区に住んでいたこともありましたので、港湾のコンテナ基地の風景も懐かしかったのでございます。

若い頃に、名古屋港の「稲永埠頭」という場所の新聞配達をしておりました。埠頭ってのは桟橋が何本も海に突き出しているわけでございますよね。で、その突き出しの先っちょに、作業員や警備員の詰め所があるわけでございます。自伝車全力疾走でその先っちょまで走って行きまして、新聞を投函。また全力で戻ってきて、次の先っちょまで全力疾走。これを何度かくり返すのでございます。ほんと、効率の悪い新聞配達でございました。ただ、早朝から勤務されている方々がいらっしゃったり、船の出航時間が有ったりしますので、配達時間には厳しかった覚えがございます。

もうひとつ、興味深かったのは「船食(せんしょく)」という言葉。辞書にも載っておりませんし、パソコンの日本語変換でも出てこない単語。でも、ワタクシ、中央卸売市場で働いていたときに、この言葉をよく聞いておりました。船に食材や日常雑貨を納入する業者さんでございます。この船食さんも、やはり船の出航時間との兼ね合いなど有って、配達時間を厳しく言われた覚えがございます。新聞配達と市場の荷物運び、それぞれスタンドアローンだと思われていた体験が、この番組を観てワタクシの頭の中でリンクされる感覚、妙に嬉しかったのでございます。

こういうのは他にもいろいろありまして、若い頃の劇団員の経験ってのは、今のお店経営に非常に役立っております。劇団員(特に小さな貧乏劇団の場合)ってのは様々な技術が身につくのでございまして、大道具作製では大工仕事が、衣装作製で裁縫、舞台の電気仕掛けで電工技術、マイクやスピーカーの設営では音響の技術と足場の組み上げ(笑)、照明のプランニングと設営では色彩効果と強電と言われる数百ボルトを扱う電気の世界。これらの経験が、今のお店の照明やBGMや備品などに生かされております。ワタクシのお店が「手作り感満載」なのも、このような経験が反映しているのでございましょう。

そう、それから、台詞を喋るときの滑舌の訓練、美しい日本語を話すための訓練などは、ニューハーフになってからの接客や今の電話応対などで生かされております。人間、どこで何が役に立つか分からないのでございます。先にも申し上げましたが、若い頃にはそれぞれ独立していると思い込んでいた経験、それらが、年齢を重ねてくると、各経験が横のリンクを持ち始め、ネットワーク構造の様な「経験の網目構造」が自分の中で出来上がってくるのでございます。バラバラで散在していたものが、ひとつの大きな塊(かたまり)に変わるってのは、ちょっと楽しいのでございます。何でしょうねぇ、上からしか見えていなかった物体が、初めて横から覗き込めた様な感覚とでも言うのでしょうか。

若い頃は、歳を取るというのは恐くてしょうがありませんでした。でもね、こういう感覚が増えてくると、歳を取るのが、少しずつ楽しくなっていくものでございます。あ〜ぁ、なんか、年寄り臭いことを言っちゃったかな(笑)。では、では。


«前の日記(2016-06-05) 最新 次の日記(2016-06-07)» 編集